どうして、亜久津と別れたか・・・だってさ?
アーノネェ。
ing
「んなこと訊かれてもネェ?、今はオレと付き合ってるわけだし?」
「チガイマスー」
千石、五月蝿い。
「淡々と語るなんて、酷い・・・」
「じゃあ千石は、わたしのこと好きか?」
「ああ、そうともさ!!」
「(そうともさ?)…嘘吐け!」
質問した人間は、わたしたちの3流コントに呆れて消えてた。
ダイタイ―
亜久津とわたしは、付き合ってなどいなかったのに。
それは、とても空気が気持ちの良い日のことでした。
屋上に行きたいと、思いました。
屋上なんて、学校と病院くらいにしか無いからね。
(わたしの知ってる限り)
わたしは、知ってました。
屋上は、不良の亜久津くんが、よく出没する場所であることを。
でも、今日は亜久津くんは、学校お休みのようですから。
多分。
同じクラスの千石清純は、そんなにコワクないよ、と(誰に向かってなんだか)言ってたりする山吹中学校の問題児だよ。
みんな怖がってるよ。
校内で暴れてるとこなんか、見たこと無いのに。
(少なくともわたしは)
「あ゛ーーーーー」
背伸び。
苺牛乳があるので、ウキウキだ。
ひとりがいい。
生理休暇なのだ。
「あ゛あ゛れ?」
亜久津はいた。
あ ら ら
会釈。
屋上の主に。
ちらりとこっち見た。
離れて座る?
あたりまえ。
貢物をしたほがいい?
苺牛乳。
「亜久津、いる?」
そう言う前に。
「吸うか?」
差し出される、タバコの箱。
銘柄は吸わないからわかんない。
ここから推察するに―
亜久津は(珍しく)大変キゲンが良いようだ。
つーか、こんな亜久津はアリなのですか、千石?
まさか、酔っ払っている?
(校内で?!)
もしくはラリっている?
(シンナーとか?今時?!)
「遠慮しときます」
気を悪くしないで下さい。
「亜久津は…いる?」
苺牛乳、美味しいよ。
「いらねぇ」
そーですか。
そしたら、亜久津 仁は、怖い人ではなくなった。
わたしの中では。
むしろ、よくワカラン人。
(苺牛乳拒否したくせに、○クルト飲んだの!)
(チョコ食わないくせに、甘栗は食べるの!)
―で
たまに一緒に昼寝する仲になった。
イヤラシイ意味は含んでません。
噂は、あっという間に、広がる。
真っ白な綿の布に墨汁がこぼれたみたく。
亜久津とわたしが付き合っているという噂が。
別に、わたしはそんなに頻繁に屋上に行ってた覚えはないんだけど。
廊下で、亜久津と喋った。
千石と、亜久津の話題で盛り上がった。
屋上でお昼寝してたら、いつの間にか亜久津の学ランの上着がわたしにかけられていたので、千石に自慢した。
超うらやましがられた。(なんで?)
或いは、この時に、気が付くべきだった。
わたしは。
「サンって、亜久津と付き合ってるの?」
そう面と向かって聞かれる時には。
亜久津は、もう、わたしを避けてた。
避けてた。
避けてた。
避けられてた。
そしたら、わたしは、どうすればよかったんだろう?
泣いて、縋って、傍に居てって。
チガウ。
傍に居たいって。
わたしは、亜久津の傍に居たいって。
言わなければならなかった。
でも
イヤだって言われた時のことを考えたので、結局、わたしは言えませんでした。
「亜久津、好き」
「・・・、ソレ、オレに言ってもしょーがねーし」
わかっちょるわ。
わかってる。
わかってる。
あーもう!!
「えーと!亜久津、キスしてもいいですか!」
「ダカラ」
「亜久津!押し倒してもいいですか!」
「オレ」
「亜久津!結婚してください!」
「亜久津じゃねーっての!!」
そんな情熱を持って、わたしは、亜久津を、愛してる。
気持ちはどんどん膨らんでく。
現在進行。
成長期真っ盛りなのです!
end.